こんにちは、Vtuberモデルの作成を専門にしているするめです。
Live2Dでモデルを作成するために必須のパーツ分けの仕方について部位ごとに解説します。Vtuberモデルを初めて作成する方向けに最低限のパーツ分けについても、イラストを用いて分かりやすく説明していますので是非最後まで読んで下さると嬉しいです。
動画でも同様の内容を解説しています。
パーツ分けはなぜ必要?
Live2Dで使用するイラストは、一枚絵のように見えますが、髪や顔、まつ毛や瞳など動かしたい部位ごとに分かれています。
部位を分けることで、瞬きや口の開閉などの動きを作ることができます。もし、部位ごとに分かれていないと、思い通りの動きを作ることができません。
魅力的に動くキャラクターを作りたいのであれば、必要最低限の部位は分ける必要があります。
動かす部位を分ける、この作業を「パーツ分け」といいます。
パーツ分けの考え方
どこをどのくらい動かしたいかによってもパーツ分けの量が変わります。
より繊細に動かしたい場合は、細かくパーツ分けをする必要がありますが、あまり細かく分けてしまうと、後々作業量が増えてしまいます。
Live2Dを始めたばかりの方は、まずは大雑把にパーツ分けをして1体のモデルを作成すると良いでしょう。
1体モデルを作成すると、自分がどの部位をどれくらい動かしたいかも見えてきます。
大雑把に分けると言われても…と困惑する方もいらっしゃると思います。今から少しずつ解説させていただきますので、少しでも参考になれば幸いです。
Live2Dのモデルで一番重要になる部位が「顔」です。次に上半身、そして下半身です。
Vtuberで配信する場合を考えてみると、ほとんどの場合上半身のみ画面に表示されています。
そのため、顔はモデルを作る際、他の部位よりも細かなパーツ分けが必要になります。
Vtuberは顔が命といっても過言ではないと思います。
使用するイラストソフト
PSD保存・レイヤー機能は必須になります。レイヤー分け=パーツ分けです。
Live2D Cubism公式サイトでは、Photoshop(Adobe)、CLIP STUDIO PAINT(セルシス)のソフトを推奨しています。
上記2つは有料のペイントソフトになります。
有料のイラストソフト以外では、筆者はアイビスペイントを推しています。
Live2Dを始めたばかりで、上記のイラストソフトがない方は一度アイビスペイントを試してみて下さい。
筆者はアイビスペイントと、CLIP STUDIO以外は使用したことはありませんが、できれば対称定規機能があるとイラストを描くのが楽になります。
結論的に言うと、PSD保存・レイヤー機能、必須ではないですが対称定規機能があるペイントソフトを使用してください。
対称定規機能
定規を挟んで左側に描けば、右側にも同じように描かれる機能です。反対に右側にかけば左側にも描かれます。
Vtuberは正面絵が多いため、左右対称で顔がかけるこの機能はとても重宝します。
イラストのサイズ
当たり前ですが、解像度が高ければ高いほど鮮明にうつります。しかしながら、だからといってあまりに解像度を高くしてしまうと、動作に負荷がかかり作業に支障がでてくる可能性もあります。
Vtuberの全身立ち絵の場合、個人的には縦幅4000~6000pxあれば十分実装可能です。
縦幅2000pxほどだとアップで表示するとぼやけてしまう可能性が高いです。
ここら辺はパソコン等のスペックと相談して調整するしかないと思います。また、Live2D Cubismでは、無料版だとイラストのサイズに制限があります。
スペックの確認は必要!
私は基本ipadでイラストを描いているのですが、初めてVtuberモデルを作成するとき、スペックなんて気にせず大きなキャンパスで描いていました。
途中なんども固まったり、読み込みエラーが起こったりなどなどいろいろな問題が出てきて冷や汗ものでした。
最悪、一生懸命描いたイラストのデータが破損する場合もあるので、最初にスペックの確認は絶対にしてください。
パソコンのスペックはイラスト制作環境に影響があるため高スペックのパソコンがおすすめですが、とてもお高いです…。
パソコンのスペックについては下記のサイトが参考になると思います。
なお、Live2Dの動作に必要なパソコンのスペックはLive2D Cubism公式サイトの記事を参照してください。
イラストレーター向けパソコンとは?必要スペックを徹底解説
パーツ分け
一枚のイラストからパーツを分けることはできますが、結構難しいので、自分でイラストを描く場合は、ある程度レイヤー分けをしながら作成すると良いでしょう。
Live2Dでは「通常」「乗算」「加算」が使用できます。
また、クリッピング機能もあるため、服の柄や影などははみ出して作成してもはみ出すことはありません。
むしろ、動いた時に見えていなかった部分が見えるため、あえてはみ出して作成すると良いと思います。
最低限のパーツ分け
パーツの量を最低限にしたい場合は下記の画像を参考にしてください。画像に入れ忘れてしまっていますが眉毛は右と左でわけて描いてくださいね。
パーツ数を減らせば作業量も減りますが、思い通りの動きをつけたり、より繊細に動かすことは困難です。
しかし、初めLive2Dを触ってモデルを作成する場合、パーツの量をたくさん分けてしまうと、とても大変です。モデリングに慣れないうえ、疲れてしまう可能性もあります。
せっかく作成したモデルは、最後まで完成させてほしいと思いますので、まずは無理のない範囲でパーツ分けやモデリングをすると良いと思います。
一度モデルを完成させてしまえば、Live2Dの基本的な使い方に加え、一通りのモデリングの流れ、もっと動かしたいところや必要なパーツが分かってくると思います。
以下の記事は各部位ごとのパーツの詳細と気を付けてほしいことをまとめています。
顔
顔はパーツ数が多く、目・鼻・眉・口・輪郭・耳に分かれています。
鼻や眉は大きく動かす部位ではないので、単体でわかれていれば問題ありません。しいていうなら、鼻の上のハイライトは別にしておくと、変形がさせやすいです。
逆に目や口はパーツが多く、意外なところも分けるので要注意です。
目のパーツ
最低限、まつげ・目玉・白目の3つに分けて下さい。
白目は、クリッピングの素材として利用したり、目玉を動かした際に見えていなかった部分も見えるようになるので、しっかりと描き足しを行ってください。
パーツ数は多くなりますが、まつげや目じりの跳ねの部分も分けた方が変形させやすくなります。ハイライトや黒目も分けて描くと立体的になります。
物理演算で目の開閉にあわせて揺らすこともできます。
口のパーツ
上唇・下唇、口の中、口の中の影、上の歯・下の歯でわけてください。
閉口した時、口の中が見えないように、上唇の線の上の部分、下唇の線の下部分は肌色で塗りつぶしてください。あえて、唇の線画と肌色部分を別にする方法もあります。
簡単な口の開閉であればそこまで気を付けなくても良いですが、「あいうえお」などの口の形を作る場合は、肌色の塗り部分が線画に被らないように注意する必要があります。
輪郭・耳
輪郭は、髪を揺らしたり顔を動かした際に正面絵では見えていなかった部位も見えてしまうため、髪に隠れている部分もしっかりと描き足してください。顔の影も分けておくと、髪の毛を動かした際に違和感なく動かしやすいですし、立体感も出せます。
モデルによっては頬の赤みを描く場合があると思いますが、顔と別パーツにして左右でわけてください。
また、輪郭と顔の肌色部分を別にして、顔を動かした際に輪郭線を消すことができます。輪郭と肌の部分以外に輪郭線を消すため用のパーツが必要になります。このパーツは色や形は好きなようにして大丈夫です。
耳は、顔と分けてた方が細かい動きをつけやすくなります。分ける際は輪郭にかぶるように奥まで描き足してください。
髪
最低限でも、前髪・両サイド別、後ろ髪でわけてください。
髪は絵柄によるところが多く、デフォルメされたモデルの場合は、最低限に近いパーツ分けでも大丈夫だと思いますが、リアルに近づけば近づくほど髪のパーツ分けが細かくなっていきます。
細かく分けるほど、自然に動かすことができます。
前髪や両サイドの髪は目立つ部位なので、できれば束ごとに分けて描くと良いでしょう。後ろ髪も長い場合は、前髪と同様に分けた方がきれいに動かせます。
また、絵柄にもよりますが、下を向いた時につむじが見えるので、つむじだけのパーツを作成するか、後ろ髪につむじまで描きこむと自然な感じに見えます。
体
顔に比べると画面に映る面積や頻度は低く、首・胴体・左右の腕・左右の足に分かれていれば十分です。
ただし、揺らしたいもの、例えばリボンやフリルなどがあれば別のパーツとして描いてください。揺れ物もパーツを細かくわけるほど繊細に動かすことができます。
【胴体】
慣れないうちは、分けなくても良いですが、上腕・前腕・手にパーツ分けをしておくとしなやかに動かすことができます。
重なりの多い服に関しては、角度や揺れによって見えないところも見える場合が多いので、しっかりと重なる部位を描き足して、裏地も描いておくと良いでしょう。
【下肢】
左足・右足は別々に、スカートを履いている場合はスカートも別に分けて下さい。スカートは後ろの裏地部分も描いてください。
足も大腿部・下腿部に分けると膝を曲げるような動きを作成することができます。
【首】
上向きの動きをつけるため、顔に被るように描き足してください。短すぎると、顔と首が途切れてしまい、無理やり動かすことになりかねません。
終わりに
パーツは分ければ分けるだけ複雑な動きをつけることができます。もしパーツを大目に描いてしまったとしても、絶対に使用しないといけないわけではありません。パーツを作成する時、必要か必要ではないか迷ったときは作成すると良いと思います。
最後まで見て下さり、有難うございます。
顔以外の個性
モデルによっては、顔以外にも強調したい部位があります。
たとえば、女性モデルで胸部が豊満な場合、より胸部を際立たせるため、他のモデルよりも魅力的に動かしたいと思うはずです。
強調したい部位=そのモデルの個性だと考えると分かりやすいです。